さて、今回は喫煙と禁煙のお話です。

喫煙は健康を害して体に悪いだけでなく、様々な病気を発症させることはよく耳にされると思います。具体的には突然死を含めた心血管疾患、癌、慢性肺疾患を発症するリスクが高くなると報告されています。
煙草の煙の代表的な成分であるニコチンとタールのうち、ニコチンは自律神経を刺激して脈の増加と血管収縮による血圧上昇を招き、高血圧や心血管疾患の発症に関与し、発癌性物質を有するタールは様々な癌の発症に関与するといわれています。

日本での心筋梗塞の発病率および死亡率に関する調査では、非喫煙者に比して喫煙者の心筋梗塞の発病率が有意に高く、毎日25~49本未満の喫煙者の死亡率が2.1 倍、50本以上の喫煙者が2.8倍高いことも明らかにされています。喫煙者の心筋梗塞の発病率と死亡率が高い1つの理由として、喫煙による心臓の血管内皮障害が心臓の栄養血管である冠動脈硬化の進展に深く関わることが推察されています。

欧米に比べて日本では女性の喫煙率が高いままであり、非喫煙女性に比して喫煙女性で子宮頸癌・乳癌あるいは骨粗鬆症の発病リスクが高くなることも明らかにされています。最近では喫煙の生殖系への影響も明らかにされており、喫煙女性の自然流産のリスクが高いこと、喫煙している母親から低出生体重児が生まれるリスクが高いこと、非喫煙女性に比して喫煙女性は閉経が早くなることがわかっています。さらに、母親の喫煙により乳幼児突然死症候群(SID)のリスクが増加することも判明しています。受動喫煙でもこれらのリスクは高くなるといわれており、父親の喫煙が母親に、胎児に、乳幼児に影響を及ぼすのです。

先進国の全死亡者の内訳では、男性24%、女性7%が喫煙の関与する病死といわれており、中央や東ヨーロッパの中には男性の死亡率が40%を超えているところもあるのです。さらに、喫煙者の平均寿命は非喫煙者より8年短くなるといわれています。 今から50年前に、4万人のイギリス人医師を対象として40年間の追跡を行った調査では、喫煙者の死亡率が非喫煙者の約3倍高い値であったといわれています。一方、この医師集団のうち禁煙を励行した医師達の平均寿命が、大幅に改善していたことも判明しています。これらの数字は、喫煙が如何に健康を害して健康な人を死に至らしめる行為であるかを的確に表しているものと考えられます。

以上のように喫煙の健康に及ぼす悪影響は、次々と明らかにされており、多岐に亘ります。現在、喫煙されている方が禁煙するだけで、これらの悪影響を回避する可能性が大いに期待できます。それほど、禁煙の効果は絶大なのです。さらに、禁煙は自分自身を守るだけでなく、自分にとって大切な周囲の人々や将来を担う子ども達を守るためにも必要不可欠なことなのです。

日本では、厚労省が認可した一部の医療機関でニコチン依存症に対する保険診療が 2006年度より可能になっています。さらに、2008年からは今までのパッチ薬に加えて経口薬も新たに使用できるようになり、これらの補助薬を使用した方が禁煙率も高いことが明らかにされています。

ニコチン依存症に対する保険診療は、禁煙の意思を持っておられる喫煙者で2,3の条件を満たせば、いつからでも、何方でも、受けられます。これを読んで少しでも禁煙意欲が湧いた喫煙者の方は、是非、保険診療が可能な医療機関で相談なされてはどうでしょうか?

恵和会総合クリニックでも平成20年9月より禁煙治療の保険診療が可能となっています。
近隣の禁煙意欲のある喫煙者の方々、ぜひ、ご相談ください。

恵和会総合クリニックの禁煙外来